蓼　―たてしな―　科　の　　　風　光

月の王

2022/06/14 Tue. 19:39 [edit]

「月の王」　馳星周著　読了

馳版「ウルフガイ」というだけで、うれしくて楽しくて、あっという間の読み終わり

グロテスクな描写も多いが、平井版も当時としては結構な描写だったし
馳が書けば当然こうなる

半村良や夢枕獏のエキスも注入されているような伝奇小説の面もあります

「ウルフガイ」ってなんだ？という方のために少しだけ

「８マン」や「幻魔大戦」の原作で有名な平井和正の人狼小説なのですが、
「狼男だよ」という１作目は　ル歩ライターの狼男　犬神明を主人公にしたSFハードボイルド
だったのですが、出版社が平井に無断で数百か所を書き換えたため、裁判まですることになるのですが
以降、大手出版社から小説を発表できなくなり、仕方なく「ぼくらマガジン」連載の漫画の原作として
「ウルフガイ」を書きます、こちらの主人公は高校生なのですがやはり犬神明の名を持ちます
なので、主人公が犬神明で狼男ではあってもテーストも文体も全く違うシリーズが始まり、両者とも人気を得ます
映画化もされ、数回コミカライズされています
大人の犬神明はアダルトウルフガイ、少年のほうはヤングウルフガイなどと呼ばれ区別されます
さらにヤングウルフガイにアダルトウルフガイが登場することがあってその時は神明になります

馳版の主人公は大神明ですが、ウルフガイが読めるだけで幸せです
ただ、天皇の番犬なのはいただけないと思っていたら、そこからはさよならしそうだし
狼と龍のほかにも人外はいそうなので続編もありそうで楽しみです
ちなみに、狼男の血がほかの人間を人狼にしてしまうのは平井が繰り返し使っていつテーマ
なので、この面でもよきオマージュです

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